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トピックス

2025.12.27 EVENT ドッグユニット マラソラ NO IVORY GENERATION

12/27 獣医学生向けレクチャー

12/27 滝田明日香・帰国イベント2日目
12月27日は、NPOアフリカゾウの涙の創設者で、ケニアで野生動物獣医をしている滝田明日香の帰国イベント第2弾を東京・渋谷のGEOCセミナースペースで実施しました。

この日は、JAVS(日本獣医学生協会)向けの特別プログラムでしたが、獣医学を学ぶ学生さんだけでなく、ご興味のある一般の方々にも参加して頂きました。

全体テーマは「野生動物医療の最前線:アフリカと日本、2つの現場から考える獣医師の役割」。2部構成で、第一部は滝田明日香、第二部は、ケニアの滝田の活動をずっと支援して下さっている愛知県在住の獣医の宇野哲安先生によるレクチャーでした。

獣医学生向けのプログラムなので、第一部はケニアでの実際の治療に関する専門的な内容となり主に麻酔銃の使用についての画像を示しながらの詳細な解説となりました。

麻酔銃を使用するか否かの判断基準、使用する場合の避けるべき時間帯、撃つ際の距離や角度、覚醒させたときの注意点など現場経験からの実践的な方法が伝えられました。ライオンは寝たふりをすることもあるのでしばらく待ってから棒で突いたりして麻酔が効いているか確認するという想像すると何だかユーモラスな話しもありました。

ケニアでは麻酔銃はKWS(ケニア野生動物公社)が厳格に管理しているそうです。滝田も外国人として所持許可証をとるには大変な手続きが必要で取得まで5年もかかりました。そうした苦労の末に使用できることになった麻酔銃使用に関する詳細を獣医をめざす日本の若者に解説する語り口には熱い思いが感じられました。

そしてケーススタディとして印象的な症例についての解説後には、グループワークが実施されました。今回は、ライオン、バッファロー、チータ、ハゲワシのなかから1種を選び、「可能性のある獣医的問題、治療介入の難しさ、獣医師としての関わり方」についてグループで調べて話し会って発表するという形式。

各グループの発表では、ライオンに尻尾を噛まれたバッファローの子がいてもバッファローは群れで暮らすから介入は難しい・・傷を負ったハゲワシにどうやって麻酔銃を撃つか・・家畜を襲ったチータが人間から攻撃され受けた傷をどうするか・・などの可能性が設定され獣医師の関わり方が検討されました。これらのケースでの滝田獣医師の判断は介入せずということでした。

野生動物は、その場の1回だけの治療しかできないことが、ヒトやペットの治療と大きく違うので、そこで介入することが動物にとって利益になるか否かという判断が野生動物獣医にとって最も大きな仕事であることが伝わる課題だったように思います。
12/27 滝田明日香・帰国イベント2日目
第2部では、日本の野生動物医療の現状、野生動物と人との関わり、都市型野生生物問題、動物の愛護及び管理にっ関する法律の問題点などについて長年、獣医師をされていた宇野先生の豊富な経験と知見から野生動物にも関わる可能性のある獣医学生の皆さんの今後の参考になる幅広いお話を伺いました。

宇野先生と滝田への質疑応答の時間には、一般人が野生動物にできることは何か?という質問に対しては「自然環境をよくすること」、ここまで続けてきたことの最初のモチベーションは何か?という質問には「好き!ということ。時間はかかっても好きなことを一歩づつ進める。色々と知ることでますます好きになる。」

これが先輩獣医としてのおふたりのぴったり一致した答えだったことが印象的でした。若い獣医学生の皆さん、そしてすべての参加者への大きな励ましの言葉となるかもしれません。

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