AFRICAN ELEPHANTS アフリカゾウについて

Photo by: TAE
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ECOLOGY アフリカゾウの生態

 

動物界脊索動物門ほ乳綱ゾウ目ゾウ科のアフリカゾウには主に2種類います。ブッシュやサバンナに生息するアフリカゾウ(サバンナゾウ)Loxodonta africana africanaと森に生息する少し小柄なマルミミゾウLoxodonta africana cyclotis(学説によって分類は多種ではなく亜種)。主に草、葉、枝、樹皮、木の根、果実を食べる大型草食動物です。どれくらい何を食べるかは、その時生息する地域の植生によります。メスと子供を中心とするメンバーで数頭から十数頭の個体で家族や親戚グループを形成し、それが重なって数十頭から何百から時には千頭以上の群れとなります。オスは12歳前後で家族を離れ、単独かオスの群れと合流し、繁殖期には発情したメスと行動をとります。妊娠期間は18〜23ヶ月と長く、赤ちゃんは誕生時120キロもあります。大分発達してから生まれるので、生れてすぐ母親のあとを付いて群れと行動できます。野生のアフリカゾウは、動物園など施設で生まれ育ったゾウよりも長く生きます。施設のゾウの平均寿命は20年前後とも言われていますが、野生のアフリカゾウは密猟で殺されなければ60〜70年と人間の様に長い寿命を持っています。


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TEETH & TUSKS アフリカゾウの歯と牙


アフリカゾウの牙は角とは異なり、門歯の変形で、牙は生涯抜け落ちたり生え変わったりはしません!2歳くらいのときにようやく生え、事故で折れたりしない限り、死ぬまでずっと同じ2本の牙を持ちます。彼らの寿命は歯の生え変わりに影響を受けます。人間は人生で一度、乳歯から永久歯に生え変わりますが、ゾウは6回生え変わります。一日150キロ程の植物を食べるゾウの歯は木の枝や竹などの固い素材もすりつぶせる様な頑丈な臼歯で出来ています。その頑丈な臼歯は口の奥で生え、次の奥歯が生えて来るとともに、古い歯が徐々に前に押されていき、抜け落ちます。ベルトコンベイヤーのようなシステムです。臼歯の生え変わりが出てこなくなると、ゾウは食餌を噛み砕けなくなり、寿命を迎える事になります。ゾウにとって牙は生活の中で使う道具ですが、大人のゾウの牙を見ると、曲がり具合で右利きか左利きか見分けがつきます。

 

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DEMOGRAPHY アフリカゾウの個体数


1930年頃、アフリカ大陸にはおよそ500万から1千万頭のアフリカゾウが生息しました。2013年現在、アフリカにはその1パーセント以下、およそ45万頭しか残っていません。特定の地域を見た場合、面積に対してゾウの個体数密度が高くて個体数も増え、十分なところもあります。しかし、アフリカ全体としてみた時、そしてアフリカゾウの歴史を見た時に、今の個体数はとてつもなく少なく、そして恐ろしいペースで減少しています。例えば、2005年までの数年間ケニアのサンブル地域では個体数が平均4.6%伸びていたにも関わらず、今は密猟の数が危機的なペースで増え、今はゾウの出生率より密猟率の方が高くなってしまいました。この地域のゾウの個体数のうち70%がメスで、この地域の群れの14%は25歳以上の繁殖可能なオスのいない状態です。それはゾウの大人が、そしてオスが、立派な牙を持つため、密猟の餌食になっているからです。東アフリカのゾウ達がこのペースで密猟の犠牲になり続けば、あっというまに西アフリカのように激減してしまい、そして、南部アフリカのゾウが今の東アフリカのように集中攻撃を食らうのはわずかな時間の問題です。現在のアフリカ大陸では、年間を通してアフリカゾウのおよそ1割が密猟の犠牲になっています。2012年は38000頭のゾウが殺されました。多くの動物研究者は、この数字が生物学的に種の維持がほぼ不可能なレベルに達して来ているとし、このままでは10年から15年以内の絶命の可能性を訴えています。

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DISTRIBUTION アフリカゾウの生息域


もともとアフリカゾウは順応性の高い動物のため、サバンナに限らず、森や砂漠にも生息できる動物です。そして行動範囲は広く、もともと人間との境界線が問題視されてなかった時代は、自由に大陸を動き、今よりも行動範囲は広かったのです。それは大食いな草食動物であるゾウにとって非常に大切なことでした。ゾウは草木を踏んだり、倒したり、抜いたり、食べたりします。一頭あたりの一面積の環境に対するインパクトは大きいため、一度訪れた地域から移動し、再びその地域に戻るまでの植生の回復期間が環境にとって不可欠となります。かつては食べては移動して、を気にせず広い範囲でしていたのですが、増える人口や密猟の影響とともに行動範囲はゾウにとってより安全な地域に集中して来ています。しかし、密猟が悪化する中、今やゾウにとって平和に生活できる地域は人間によって守られている保護区ばかりです。それらの地域ですら密猟のターゲットになっています。かつてはアフリカ全域に渡って生息したアフリカゾウですが、現在はパッチ状にサハラ以南のアフリカに生息します。森林に住むアフリカゾウのマルミミゾウが主に西アフリカと中央アフリカに生息し、サバンナやブッシュのアフリカゾウは東部と南部アフリカに生息します。保護区同士の協力合いによって彼らの行動範囲をより広く広げられるようにするための試みはありますが、密猟阻止への取り組みがどこも大きな難題になっている中、エリア拡大へは密猟のリスクが高くなり更なるチャレンジになります。

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BEHAVIOUR アフリカゾウの行動と能力


赤ちゃんゾウが生まれると同じグループの大人や若いゾウ達が集まり、鼻を使って匂いを嗅ぎ、撫でたりして新しい家族のメンバーを認識します。子ゾウは母親と群れに守られて育ちます。群れが危険を感じると、ゾウ達は寄り添い、中心に子供をいれて守ります。赤ちゃんゾウは鼻の使い方がまだわからなく、水飲み場などでみると、周りは鼻を使っているのに、赤ちゃんは顔ごと水につっこみます。そんな子ゾウも2歳くらいになると乳歯のように牙が生え、その牙は死ぬまで生え変わることはありません。大人のゾウが象牙目当てで殺されていますが、一緒にいる子供はその光景を目にしておいて行かれるか、一緒に殺されることもあります。人間と一緒で、大人と一緒に行動することによってゾウとしての社会性や行動を学びます。行きどころのなくなったゾウの孤児が見つかった場合は、保護され、孤児院等で人間によって育てられますが、本当の親のように育てるのは至難の業で、その子たちを自然に返すまで必死に活動している人たちがいます。


壮大なサバンナを生きるアフリカゾウは、とてもインテリな生き物です。彼らの能力は霊長類やイルカ類と比べられています。人間のように、怒りや悲しみを感じ、ヤキモチを焼いたり家族の心配をしたりします。記憶力も良く、トラウマを感じたり恨んだりもします。仲間が亡くなれば、それを認識します。家族や仲間との絆は深く、人間には聞こえない低周波音を使って遠くにいる仲間ともコミュニケートをとります。自分のテリトリーも認識し、強制的に移動させられても、自分の地域に戻ります。見た目はあんなにおおらかで優しそうなのに、好き嫌いもあるし、繁殖期が近くなったりお腹が減ったら短気にもなります。

 

ゾウのインテリ度は長年研究されて来ていますが、正確に計ることはとても難しいことです。しかし、現時点で分かってきているだけでも、十分ゾウの頭の良さが図られます。ゾウの脳は5キロ弱もあり、そのうちどれだけが使われているかは不明ですが、人間よりも脳の密度が高く、しわが多く、潜在的にたくさんの情報を貯めることができると言われています。特にゾウは個体識別をし、一頭一頭を覚え、それが記憶され、歳とともに大きな資料となっていきます。そのため、家族で食餌をとっているとき、他所のゾウが近づいて来たら、その個体が家族や友人かを識別し、仲間なら受け入れるし、危険を脅かす個体なら一緒にいる家族に危険を伝えることが出来ます。この記憶力は子育てにもかかせなく、そのおかげでグループの誰だったら自分の子を預けるのに安心できるかの判断材料にもなったりします。彼らがゾウの死体に遭遇した時に、死を悲しむような行動をとるのも、彼らに個体識別の能力が備わっていて、その死んだゾウが誰なのかをある程度判別できるからではないかとも言われています。