IVORY TRADE 象牙取引について

Photo by: Marc Goss
Photo by: Marc Goss

20世紀までの象牙取引

象牙の取引は昔から存在し、北アフリカのゾウは1000年くらい前に過剰なハンティングによって絶滅されたと言われています。ヨーロッパとのアフリカとアジアの象牙の取引の記録は14世紀にまでさかのぼれます。20世紀までの植民地時代にアフリカから1000トンほどの象牙がヨーロッパに渡ったとされています。それらがピアノのけん盤、ビリヤードのボールやその他の形で富の象徴として使用されました。この時代の象牙取引は世界大戦や経済不況まで勢いを続けていました。

 

20世紀の象牙取引

第2次世界大戦後、日本を含む世界の経済回復とともに、象牙の需要は再び増えました。1970年代前半に日本への外貨取引の規制が解除されるとともに、日本は大量の象牙の買い付けをはじめました。日本では1970年以前は印鑑の先だけが象牙で作られていましたが、70年以降は印鑑すべてが象牙で作られたものが好まれ始め、我が国の象牙需要の発端となりました。

 

1989年代の密猟危機

象牙需要の急激な増加と共に1980年代には象牙やトロフィーハンティングの影響で、全体の約半数と言われる年間10万頭のアフリカゾウがその命を落としました。そして80年代の日本は、全世界の象牙消費の40%を占める「象牙大国」として全世界に知れ渡ることになりました。その結果、1980年代の10年間だけでアフリカゾウの個体数が130万頭から60万頭に激減しました。


1989年の象牙取引禁止とその効果

アフリカゾウの殺戮と絶滅を心配した国際保護団体などのアピールにより、1989年のワシントン条約会議では、国際取引の規制対象になっていたアフリカゾウの附属書の見直しがされました。その結果アフリカゾウは「附属書 II 」から「附属書 I 」に移行され、全世界で象牙販売が廃止されました。14世紀から象牙の為に虐殺され続けて来たアフリカゾウ達たちは、やっとサバンナで平和に生きていける日々を送ることが出来始めたのです。

****「附属書 I ****今すでに絶滅する危険性がある生き物で、商業のための輸出入は禁止。 学術的な研究のための輸出入などは、輸出国と輸入国の政府が発行する許可書が必要となる

****「附属書 II ****国同士の取引きを制限しないと、将来、絶滅の危険性が高くなるおそれがある生き物で、 輸出入には輸出国の政府が発行する許可書が必要となる)

Photo by: Marc Goss
Photo by: Marc Goss

 

日本の責任:2000年の日本への象牙の合法取引が引き金に

2000年に、再びアフリカゾウ達の平和な日々を脅かす時代の幕開けの発端となる出来事が起こります。1997年のワシントン条約会議により南部アフリカ諸国(ボツワナ、ナミビアとジンバブエ)からの象牙が「附属書 II 」に移行され、日本が約50トンの「合法象牙」を流通・販売実験として500万米ドル(約52,000万円)で買い取ったのです。合法象牙の流出は「象牙ビジネス再開」という大きな勘違いを象牙密猟者、販売カルテル、そして消費者に植え付けてしまいます。2年後には、シンガポールで4万個の印鑑用に切り刻まれた象牙と、ゾウ266頭分にあたる532本=計6トンの象牙が押収され、再開してしまった闇の象牙取引市場の現状を物語っています。こうして10年間落ち着いていたアフリカゾウの密猟は、合法象牙の流通復活で今世紀最悪の状態と呼ばれる暗黒の時代への幕開けに突入して行きました。その後2006年には、南部アフリカ諸国(南ア、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、ボツワナ)から60トンの象牙が日本にのみ取引許可され、さらに2008年には「一回限りの販売」として、中国と共に108トンの象牙の輸入許可を取得した日本。

 

2008年の日本と中国への合法象牙販売

2008年に日本と共に象牙の買い取りをした中国は近年、道路建設や貿易商などで、アフリカの多くの国に拠点を置き始めています。ナイジェリアやケニアといったアフリカ諸国の国際空港で象牙を押収された中国人の数は、2011年度のみで150人にもなり、アフリカ在住の中国人労働者による象牙の違法な調達の現実が浮き彫りになっています。さらに中国本土での経済成長とインターネットによる商売の繁盛が違法象牙取引に拍車をかけます。合法象牙取引免許を得た店は全体の64%であり、免許を持っている店の60%が政府からの象牙ライセンスの違法使用していることが国際動物福祉基金(International Fund for Animal WelfareIFAW)の象牙市場調査により発覚しています。更にEIA(Environmental International Agency)の調査によると、中国で取り扱われている象牙の90%が違法のものであることが浮上して来ている。中国の象牙を購入している年代は、主に26歳から45歳までの中流階級。人気のネットショッピングサイトのTaobao.com, Alibaba, Ebayなどでは多数の象牙商品が堂々と販売されており、象牙需要は減る傾向をみせません。

Photo by: TAE
Photo by: TAE

 

現在の密猟の危胎

2010年の第15回ワシントン条約締約国会議では、タンザニアとザンビアが自国の象牙112トン(タンザニア90トン、ザンビア22トン)を日本と中国を対象に輸出する許可を求めましたが、多くの国際アフリカゾウ保護団体による断固とした抗議により、取引は許可されませんでした。タンザニアでは、2006年から2009年のわずか3年で、ゾウの人口の3/4が密猟の犠牲になっているにも関わらずの輸出許可要請でした。2011年は24.3トンの象牙が全世界で押収され、アフリカ全土では2万5千頭から5万頭のアフリカゾウが密猟者の手によって命を落としていると言われています。そして2012年は、前年よりさらにひどい34トンの象牙が押収され、過去24年間で一番劣悪な象牙密猟の大惨事となっています。